皮ふはどこからどこまで?
皮ふと呼ばれるのは、体の表面を覆う部分ですが・・・。
よく考えて辿ってみると、体の内側と、一枚に繋がっていると思いませんか?
顔からイメージしてみたら、顔の皮ふから唇へと辿り、口の中に入り、食堂を通って、胃にたどり着き、腸へ向かって、肛門からおしりの皮ふに・・・
全部繋がっている!!
皮ふに出てくる様々な症状は、繋がっているけど表には出ていない部分からの信号と考えたら、胃腸の調子がお肌に影響するのは当然のことのように感じたのです。
見えている部分だけケアしても、見えていない部分のケアは忘れがち、または気づかないことが多いのではないでしょうか。
表面肌のターンオーバー(代謝)は、約28~40日間で再生、更新されますが、他の部位はどうなっているのでしょう?
新陳代謝
人体は、1日で1兆個もの細胞を入れ替えています。不要になった細胞は死んで、その近辺の元気な細胞を細胞分裂させて2つにし、その一つを失った細胞に入れ替えて成長させます。人体の細胞の数は約60兆個で、毎日1兆個の細胞が入れ替わるとして単純計算すれば、1ヶ月で30兆個、2ヶ月で60兆個が新しい細胞になっていくのです。
細胞
人体を構成している細胞は、約250種であり、その更新速度は、各々の組織や臓器によって、次の4つに大別されます。
速やかに更新される細胞:表皮、角膜、消化器系上皮組織、精巣上皮、造血組織、リンパ組織など
ゆっくり更新される細胞:呼吸器上皮、尿細管上皮、肝細胞、膵臓、結合組織細胞、胃の壁細胞、副腎皮質細胞など
生涯に一部しか更新されない細胞:平滑筋細胞、脳神経膠細胞、骨芽細胞、副腎髄質細胞、褐色脂肪細胞など
生涯更新されない細胞:神経細胞、心筋細胞、セルトリ細胞など
主な細胞の更新速度
脳:早い細胞は1ヶ月で約40%、遅い細胞は約1年で全て入れ替わる。
胃の粘膜:約3日で全て入れ替わる。
腸の微絨毛:約1日で全て入れ替わる。
肝臓:早い細胞は1ヶ月で約96%、遅い細胞は約1年で全て入れ替わる。
腎臓:早い細胞は1ヶ月で約90%、遅い細胞は約1年で全て入れ替わる。
筋肉:早い細胞は1ヶ月で約60%、遅い細胞は約200日で全て入れ替わる。
皮膚:約1ヶ月で全て入れ替わる。
血液:4.5~5.0リットルの血液は100~120日間で全て入れ替わる。
骨:幼児期は約1年半、成長期は約2年未満、成人は約2年半、70歳以上は約3年で全て入れ替わる。
肌:以下のとおり
10歳代で約 20日周期、
20歳代で約 28日周期、
30歳代で約 40日周期、
40歳代で約 55日周期、
50歳代で約 75日周期、
60歳代で約100日周期で全て入れ替わる。
以上、人体の細胞更新速度から抜粋
早い細胞は、1日、しかも数時間で入れ替わっているというから驚きです。
また、生涯変わらない細胞まであります。
細胞一つ一つに役目がしっかり別れていて、それぞれが互いにコミュニケーションしながら、カラダを維持しているというわけです。
表層の肌の代謝物は、垢となり、内層の代謝物は老廃物として排泄されます。
これら全てが自然の働きとして起きているということを知ると、人のカラダはスゴイですね。
全てが繋がっているカラダ
カラダの異常はそれぞれの部位が故障して起きているのかというと、そうではないのです。
何かしらの接点があるし、何かしらの合図(サイン)があるし、連携しているコミュニケ―ションがあるのです。
細胞のコミュニケーション
すごくミクロな話になりますが、細胞の中にはいろんな機能があります。
シグナル伝達機能というものがあって、ここは非常に複雑なのでリンクを貼っておきます。
簡単に言うと、カラダ全体の状態を把握するための細胞同士の情報交換です。
シグナルの内容によって発動する別の細胞があり、維持なのか、修復なのか、廃棄なのか、消去なのかをカラダ全体の細胞がコミュニケーションを通して決めるという機能。
カラダに起きていることを細胞同士が意識し、全体のバランスを考えた対処を決めるためにしている会話のようなものなのです。
その細胞同士のコミュニケーションを司る「言語」の役割を果たしているのが、サイトカイン、成長因子と言われるものです。
これらは、タンパク質の一種として人の体内にもともと存在しています。
私たちのカラダは、この言語(サイトカイン・成長因子)を通じて、細胞の分化・増殖・機能発現を行っているので、細胞同士のコミュニケーションが取れなくなってくると、新陳代謝が衰え、停滞し、さまざまなトラブルを引き起こすのです。
細胞を育てる水と血
細胞の活力源は、体液による潤いと、血の流れで運ばれてくる栄養です。
何らかの理由で、潤いや血が枯渇してしまうと、細胞は不活性となって、機能しなくなってしまいます。
食べものや飲み物を胃腸で消化吸収していくのですが、栄養素が偏ったり、水分が多すぎても少なすぎても、バランスが崩れてしまいます。
肌の改善に、食が切り離せないのはこのためです。
バランスのとれた潤いと栄養で、一つ一つがすごい機能を持つ細胞が活性すれば、間違いなく健康なカラダと肌でいられます。
精神活動とカラダ
人には大きく3つのカラダがあるという考え方があります。
①肉体としてのカラダ
②心のやり取りをするカラダ
③大自然とのやり取りをするカラダ
人の精神活動は、この全てのカラダのバランスを維持するためにあると思います。
精神活動のバランスが崩れると、心が病み、結果的には肉体も病んでいきます。
細胞は、精神エネルギーにも影響を受けやすいので、ストレスや心理的問題を抱えていると弱ってしまうのです。
皮ふは、内と外を繋ぐセンサーでありスクリーン
3つのカラダを結ぶ皮ふは、あらゆる気に対して様々なセンサーとしての働きもします。
センサーがキャッチした何かを皮ふ細胞がシグナル化して、脳や内臓に伝達し、対処機能が働きます。
紫外線をキャッチしたなら、細胞核を守ろうとして、紫外線防止のメラニンを対策として出します。
花粉やウイルスをキャッチしたなら、免疫システムが発動して、退治し、排出するのに鼻水や涙が出ます。
食べものに異常をキャッチしたなら、胃腸内壁の粘膜に免疫を配置して、退治し、排泄するのに下痢が起きます。
肌にあらわれるトラブルも、体の内側に起きた異変を細胞が意識し合ってあらわれます。
原因となっているカラダの組織の異常を「意識してね」というサインです。
そのサインに気づいて、意識的に受け取った時、はじめて改善しようという意志が働きます。
どこまでを意識して、どこまでをケアしようとしますか?
その肌トラブルは、カラダの内側の異変のサインで、そのカラダの異変を起こしているのは、心のトラブルかもしれません。
表面に出てきたトラブルだけを見てケアしても、肌トラブルを繰り返し、根本的な改善に至っていないのでは?
肌は、カラダ全体と繋がっていて、カラダの様々な状態を見える化してくれるスクリーンのようなものです。
自分が意識する範囲によって、ケアの範囲も変わり、効果のあらわれ方も変わります。
自分のカラダの内外を意識することは、いろんなトラブルを改善する基本ではないでしょうか。